桐箱のすごいところ

桐は気密性が高く内部の湿度を適切に保つだけでなく、防腐、防虫効果をもつ優れた素材です。

桐箱

大切な書物や呉服など、湿気を嫌うものは桐箱に入れて保管する、それが日本古来の生活の知恵でした。

日本古来の知恵—驚くべき桐の特性

呼吸する桐。調湿性があり、天然由来の防腐、防虫効果まで。

古い巻物

日本では古くから着物、医薬品、書物、調度品など、大切に保管したいものを代々桐箱に納め守ってきました。桐自らが呼吸するかのように大気中の水分を取り込んだり放出したりする特性があるため、内部の湿度が一定に保たれ、特に湿気を嫌う物の保管に適しています。加えて防腐成分のタンニンや、虫が嫌うパウロニンなどの成分も多く含むという、驚きの木材。見た目が美しいだけでなく、素晴らしい機能性を持ち合わせています。

手から手へ—桐箱に託し受け継がれる想ひ

古い桐箱と茶碗

みなさん、桐箱の中身というとどんなものを想像されますか? まず思い浮かぶのは、名人が作ったお茶碗や漆器、高価な掛け軸などの美術品、工芸品でしょうか。高温多湿で四季による気温の移ろいがある日本だからこそ、内部環境を一定に保つ機能を持つ桐箱はなくてはならない存在。桐箱は、これら貴重な品々を変質させることなく、また時には火災の火の粉からも守り、各ご家庭の家宝を先祖代々受け継ぎ、大切に次代へと伝える役目を担ってきました。また、美術館や博物館、神社仏閣などでも、収蔵している国宝や重要文化財をはじめたくさんの日本の宝物を桐箱が守っています。

他には何があるでしょう。一生懸命集めたコレクション、いただいた贈り物、思い出の写真や手紙・・・もしかしたら、愛らしい桐の小箱に入ったへその緒をお持ちの方も多いかもしれません。その小さな箱にはへその緒とともに大きな大きな愛情がギュッと詰められて、親から子へと渡されます。

着物のイメージ

はるか昔むかしから現代に至るまで、中に入っているものは自ら桐箱に飛び込んだわけではありません。どの品ひとつとってもすべて、誰かが大切に思い、守りたいと思い、伝えたいと思い、愛しいと思い、その物や伝える相手のことを想って、愛情とともに桐箱に品物を納めます。桐箱を誂えること、それは、託された想ひを守ることーー。

母と子の手

絹のようななめらかさ—人肌のようなぬくもり

桐は、美しい木肌のすべるような手触りが、絹にもたとえられます。また、しばらく手を当てていると人肌のようなぬくもりを感じます。いつまでもなでていたくなるなめらかさと温かさを、皆さまにも是非実際に触れ、感じていただきたいと思います。心地よくほんのりと温かく包む。人の大切な想ひを入れる器に、桐箱は最適であると感じる所以です。いえもしかしたら、込められた愛情で温かく感じるのかもしれません。

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